子供が悪いことをした時、親としてしつけをする必要があります。
ご家庭によって、しつけの方法は様々ですし、なかなかどういった方法が正解かというのは難しいことだと思います。
子供の性格にもよって、効果的な方法は変わってきますし、状況によっても、できること、できないことがあるかと思います。
言い伝えによりますと、子供が悪いことをした時に、倉庫や暗い部屋に閉じ込めてみたり、逆に家から追い出して外で反省させるなんて荒療治も存在したように聞きます。
果たして、しつけとして、そのような荒療治は正しいと言えるのでしょうか?
近所の子供が家から追い出されていた
さて、僕が我が家で過ごしていたある夜のことです。
外から子供の泣き声が聞こえた気がしました。
何か事件ではないか?
そう思い、玄関から外に出て、周囲の様子を伺います。
すると、やはり小さい子供の泣き叫ぶ声が聞こえてきます。
子供は泣きながら大声で
「ごめんなさい」「もうしません」
と叫んでいました。
しばらくすると、泣き声は止み、子供は家の中に入っていったようでした。
これは、僕の推測でしかありませんが。
おそらく、その子供は何か悪いことをしてしまい、親に玄関から外に追い出されて、中から鍵を閉められて家に入れない状態だったのだと思います。
そして、子供が反省したところで、鍵を開け、家の中に入れてあげたのだと思います。
時間帯的なことは、はっきりと覚えていませんが、日は落ちて、暗くなっている時間だったと記憶しています。
その家の子供は、小学校入学前の、幼稚園児くらいの年齢だったかと思います。
子供を追い出すしつけの効果
他所の家庭の教育方針に口を出す気はありませんが、こうした、悪いことをした子供を家から追い出すしつけの方法について、効果的なのか考えてみたいと思います。
まず、子供は泣き叫んでいましたので、良い悪いは別にしても、子供に大きな影響を与えていることは確かだと思います。
子供は家を追い出されることを恐怖に感じます。
悪いことをしたら家を追い出されると植え付けることで、悪いことをしないようにしつけているということですね。
ただし、この方法は、恐怖で子供を支配しているだけにすぎません。
個人的には、最も僕の忌み嫌う子育ての仕方です。
恐怖で子供を支配する子育ては、怒鳴ったり、叩いたりすることと本質的には同じことです。
悪いことをすると、恐ろしい目にあわせて、次からはしないように仕向けているということです。
それでは、本質的な教育にはなりません。
なぜなら、どうしてその行為が悪いことなのか?子供は理解できないままになるからです。
その行為の何がいけないことなのか?それを理解しないままに、ただ悪いことだから、してはだめだと言って、悪いことをしたらおしおきを与え、次からは同じ行為をしないようにさせるというのは、ある意味で育児放棄だと考えています。
そうではなくて、なぜその行為がいけないことなのか?親であれば子供に教えてあげるべきです。それが、教育であり、育児というものだと思います。
ただ、これをすると親に怒られるからしないようにしようという考えでは、親の見ていない所ではしてもいい。見つからなければいい。といった考えに至ってしまいます。
親の前では良い子にしているかもしれませんが、それではその子供にとって良い結果にはなりませんよね。
恐怖によるしつけは、短絡的に子供をすぐに従わせることができるので、親が楽をするために使われがちです。ちゃんとした、教育をするのが面倒くさいといった親が安易に恐怖によるしつけを選択してしまいます。
育児には早道も、楽な方法もないにも関わらずです。
家を追い出された子供は何を感じるか?
次に、家を追い出されるというお仕置きを与えられた子供の視点で考えてみます。
今回の近所の子供は泣き叫んで許しを乞うていましたから、相当、恐怖を感じていたのだと思います。
まだ幼い子供にとって、暗い夜に家を追い出されて、鍵をかけられ、中に入れない状況というのはどれほど怖いことなのか、想像に難くないですね。
そういったしつけをする親の視点で考えると、恐怖を感じるからこそ効果があるのであって、恐ろしい思いをしたくないと思うから、子供が親の言うことを聞いてくれるという考えですから、ある意味で、子供が恐怖を感じる、恐怖を感じさせることが目的であって、そういう意味では泣き叫ぶほどの恐怖を子供に与えたという結果は、その親にとっては成功ということかもしれません。
ですが、子供にとってはどうでしょうか?
悪いことをしたら、家から追い出される。
ある意味で、親が自分に対して危害を与える存在であると感じることでしょう。
そして、家を追い出すという行為についてですが、
これは「家にいることを許さない」=「家族であることを許さない」
とも捉えることができます。
つまり、悪いことをする子供はこの家の一員であることを許さない。というメッセージとして子供はその幼い心の中で感じ取ることでしょう。
もしも、自分が悪いことをしたら、親は自分を見捨てるんだ。
そのように感じてしまいかねません。
そんな大げさなとお思いですか?確かに子供はそこまで深く考えないかもしれません。しかし、子供は親の愛情というものに対して敏感です。自分が親から愛情を受けているか?そうでないか?ということは感じ取るものです。
いざとなれば、自分のことを家から追い出す親と感じた時に、子供は親の愛情を信じることができるでしょうか?
「愛情があるから、しつけているんだ!」
先ほどもお伝えしたように、しつけとは恐怖で押さえつけることではありません。教え、伝え、子供の学びを促すことです。
親が子供に伝えるべき愛情というものは、いかなる時も子供を守ってあげるという姿勢を伝えることだと思います。
どんな時でも、あなたを愛していると伝えることだと思います。
子供に手を上げておいて、「痛いのはあなただけじゃなくて、叩いた方も痛いんだよ」と言う親がいます。
いや、痛いのは叩かれた方です。暴力を振るった責任を子供に押し付けないでください。
それって、「いじめられる方も責任がある」みたいな論法ですよね。
恐怖による育児をする親御さんたちは、自分の行為を正当化してしまいがちです。
「子供の為に心を鬼にしてやっているんだ」
「本当はこんな事したくないのに」
子供たちは、親であるあなたの言動を見ていますよ。
正当化すれば、何をしてもいいんだ。と学び、あなたの子供が成長していくことになり兼ねません。
効果的なしつけとは?
では、子供が悪いことをしたら、どのようにしつければ良いのでしょうか?
簡単なことです。
何が悪いのか、子供に教えてあげれば良いのです。
分かるまで、何度でも、何度でも。
何が悪いのか?自分が説明できないことは、子供に対して禁止すべきではないですよね。
説明できないということは、親であるあなた自身も、その行為の何がいけないか分かっていないという事です。ひいては、悪いことだと思っていないという事です。
子供に、ちゃんと教えてあげれば、理解してくれます。
子供が自分で、この行為の何がいけないことなのか理解すれば、次からも同じ行為はしないように心掛けてくれるようになります。
そうやって、少しずつ少しずつ、子供を正しい方向へ導いていくことが育児だと思います。
「これをしたら、家から追い出されるから、してはいけない」
そう感じている子供は、家から追い出されない状況になれば、もしくは家から追い出されることが怖くなくなれば、その行為をしても良いという思考に至ります。
「これをしたら、誰かが嫌な気持ちになるから、
してはいけない」
そう感じている子供は、次からもその行為をしないように心掛けるようになります。さらに言うと「誰かが嫌な気持ちになることはしてはいけない」と考えるようになれば、他の行為についても、「これは誰かが嫌な気持ちにならないか?」という想像をして、自ら考え行動できるようになっていきます。
これが成長です。
簡単なことです。
ですが、近道も、手を抜くこともできない。長い長い繰り返しです。
子供が分かってくれるまで、何度でも何度でも。
子供が成長するまで、何度でも何度でも。
子供の為にそれを続けられるかが、親の愛情ではないでしょうか?
最後までご覧いただきありがとうございます。
子供が怖がることをあえてする親 それって本当に子供のためですか?