そんな子供に育てた覚えはない!
親が子供に対して言う言葉ですね。
だいたい、子供が何か間違ったことをしたときや、親の思いどおりにならない行動をしたときに聞く場合が多い言葉ではないでしょうか?
褒める場合よりも、良くない時に使われることが多い言葉だと思います。
僕の周りでも、たまに子供に対してこの言葉を使っている親を見かけることがあります。
そもそもどんな風に育てた覚えがあるのか?
子供が宿題をしない時。
部屋を片付けない時。
遅刻をした時。
親に対して悪口を言ってきた時。
いろいろな場面で、基本的には親が想定している良い子供のビジョンから外れている行動を取った時に
そんな風に育てた覚えはない!
といった言葉が使われることが多いと思います。
でも、そんな風に育てた覚えはないって言う親が、どの程度、育児に対して確固たる計画性を持って取り組んでいるのでしょうか?
こういった子供に育てるために、何歳の時はどういった風に育てるのか?
しっかりと計画性を持って育児をしている親なんて、ほとんどいないように感じます。
当然、しっかりと理論的に育児をしている親もいるのですが、少なくとも「そんな風に育てた覚えはない」なんて言う親のなかにはそんな親は少ないと思う。
だから、そんな風に育てた覚えはないって言うのであれば、いったいその親はどんな風に育ててきたのですか?って聞きたくなります。
たぶん、どんな風に育てた覚えもないと思う
例えば、悪口を言ってきた子供に対して、
そんな風に育てた覚えはない
って言うのであれば
「悪口を言わない子供」に育ててきたってことになるのですが。
悪口を言わない子供に育てるために、親はいったいどんな風に育てたつもりなのだろう?
まさか「悪口はいけない事だと教えています」なんて言うのだろうか?
言葉でこれはしてはいけないと言うだけで、そのとおりに子供が育つと思っているとしたら、おめでたい話です。
それって「宿題をしなさい」と言うだけで、子供がちゃんと宿題をすると思っているようなものなのですが。
はっきり言って、それは「悪口を言わない子供に育てた」なんてうちに入りません。
それはただ、「悪口を言わないように言っています」というだけですね。
だから、「そんな風に育てた覚えはない」ではなくて
「そんな風にすることはだめと言っています」なら合っていると思います。
そんな風に育てた覚えはないなんて言う親は、自分が子供をどんな風に育てたかなんて、はっきりと言えないと思います。
だから、どんな風にも育てた覚えはないのです。
「悪口を言う子供」にも「悪口を言わない子供」にも育てた覚えはないのです。
ある意味では「そんな風に育てた覚えはない」という言葉は嘘ではないかもしれませんね。
親に覚えがなくとも子供は育つ
どれだけ親が「そんな風に育てた覚えはない」としても
現実として、そんな風に育っている訳ですよ。
「悪口を言う子供」に育てた覚えはなくとも
「悪口を言う子供」に育ってしまっている訳です。
そもそも「悪口を言わない子供」が存在するのか?は別ですが。
結果として、そうなっているのに、「そんなはずはない」なんて言ってしまうのは、ただの責任逃れなのではないかと思うんですよね。
「私はそんな風に育てていない」「だから私のせいではない」
なんて論法で。
確かに、子供がどのように育つかなんて、親だけの影響で決まるものではありません。
他にも様々な要因、例えば友達や学校の先生、いろいろな影響を受けて育っていくわけですので、今の子供の状態をもって、全てが親の育て方によるものだなんてことはないはずです。
だから、我が子が親の意図しない(というか望んでいない)悪い行動を取ったときに、親は責任を他になすりつけしてしまいます。
「そんな事をするのは、私のせいではない」
「(私は)そんな風に育てた覚えはない」
確かに、親はそんな風に育てた覚えはないのかもしれません。
というより、先ほども説明したとおり、おそらくどんな風にも育てた覚えは無いのですが。
ですが、現実として「そんな風に育っている」訳ですよ。
どれほどの確証があって、どんな風な子供に育てたのかは分かりませんが。
だから、「そんな風に育てた覚えはない」なんていうのは、ただの言い訳です。
実際に、「そんな風に育っている」のだから、どんなに「そんな風に育てた覚えはない」なんて親が言ったとしても、「そんな風に育てている」のです。
そもそも、親の思い通りに子供が育つと思っているのであれば、それは親のおごりですけどね。
意図していようと、意図していまいと、そんな風に育っているということは、そんな風に育てているのです。
先ほどお伝えしたとおり、子供の性格は親の影響だけで決まる物ではありません。特にすでに成人し親元を離れた子供は、いろいろな人間関係での影響を受け、親の手の届く範囲を離れてしまうことになります。極端な話、我が子が犯罪など犯してしまった時には、「そんな風に育てた覚えはない」と言いたい気持ちは理解できますが、ここで紹介したような、子供がまだ親に育ててもらっている環境での、些細な良くない行動について、そういった発言をすることは、責任逃れしたいだけだと思っています。
子供はどのように感じるのか?
では、親から「そんな風に育てた覚えはない」なんて言われた子供はどのように感じるでしょうか?
まず、子供は「じゃあ、どんな風に育てられたのだろう?」と疑問に感じます。
ですが、その疑問に対する答えはありません。
先述したとおり、親ですら「どんな風に育てた」なんて答えることはできないはずだからです。
育てた親自身が答えが分からないのですから、子供がいくら悩んでも答えは見つかりません。
「そんな風に育てた覚えはない」
子供はこの言葉からは、自分の何がいけなかったのか?どうしていけなかったのか?が理解できないのです。
結果として、ただ親から突き放されたという感覚だけが残ることになります。
「そんな風に育てた覚えはない」
この言葉が持つ意味を考えてみてください。
「私(親)は、あなた(子供)をこのように育てています」
「でも、あなたは私が育てたような行動ができていません」
「私がちゃんと育ててあげたのに、あなたはそれができない子供です」
そうです。「そんな風に育てた覚えはない」という言葉は、子供に対して、親が理想としている子供に育っていないというメッセージを与える言葉なのです。
子供に対して、「自分はできない子供だ」という劣等感を与える言葉なのです。
軽々しく使っていい言葉ではありませんよね。
そして、この言葉は何も解決しない言葉です。
子供が何か間違っている、悪い行動をしたのであれば、何が間違っているのか?どうしてそれが間違っているのか?を教えてあげなくてはいけません。
そして、子供の行動を改善に導いてあげなくてはいけません。
それが、育児です。それが、そんな風に育てることです。
それができないのに、「そんな風に育てた覚えはない」なんて言葉を使ってはいけませんよね。
最後までご覧いただきありがとうございます。
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